サロンタンゴとステージタンゴの二通りの踊り方が定着いていった。
一つはミロンガ等で社交を目的にゆったりと優雅な踊り方、
もう一つは、サロンタンゴから発展した見せることを目的に踊られるステージタンゴである。
最近の日本におけるタンゴダンスは、サロン、ステージ両方に
アルゼンチンタンゴの本質を重視しない傾向があり、心を痛めるがことしばしばである。
ミロンガで良く見かける光景だが、ガンチョやサカーダ、ボレオ等をやたらに使ったり、
自分を見せようとして、混んでいる中を飛ばして踊っていたりする。
自分を見せるのはステージで行うことで、ミロンガでは、
他の人に迷惑をかけないことが最低限のマナーであり、
そこに居合わせた人々への配慮は最も重要であろう。
また、ステージタンゴでは、やたらにリフトを多用し、
飛び上がってばかりいる踊り方に問題があろう。
タンゴとは本来、地に足を着け、ホールドをして踊るものであった筈である。
1985年にタンゴダンスを世界に認めさせたショー「タンゴアルヘンティーノ」では、
リフトは殆ど使われていなかった。
日本人のタンゴが世界から認められるには、
タンゴの本質を今一度見極める必要性を痛切に感じる。
「タンゴアルヘンティーノ」を評した幾多の語録を紹介するので、
「タンゴとは」を熟慮する参考にして欲しい。
★エロチシズムの芳香が漂う120分のスペクタクル。
★タンゴは踊らずにはいられないほど悲しい感情である。
★切なく、激しく、血が騒ぐ。
★愛をささやき、悲しみを踊る。抱擁のドラマ。
★じんわりと、哀しさが、華やかに溶けていく。
★妖しさ、上等のエロティシズム。
★ああ、心が濡れる。魂が甦る。
★それは、踊りに名を借りた、男と女の愛だった。
★感動の拍手は、絶賛の言葉に変わった。
★激しい刺激に打たれた。
★タンゴへの愛が、夢をかなえた。
★魂への響きが、私を踊らす。
★哀愁の情景が、聴こえる。